—それぞれの進学理由と、将来の夢を教えてください。
杉本:子供の頃から両親のような医者になりたいと考えていて、小学6年生のときに青年海外協力隊の映像を見て、その思いを強くしました。福井県は全国的にも高齢化が進んでいて高齢者の方が病院に通えないという状況があり、より困っている人を助けたいという思いから、高校3年生頃から将来は訪問診療の方に進みたいと思うようになりました。
笠井:将来、起業したいと思っているので、経営学部を選びました。小さい頃から、父親が会社のナンバー2として働いている姿をかっこいいなと思って見てきたことも影響しています。大学では経営について学び、社会の課題を解決できるような社会起業家になりたいです。
鈴木:幼い頃から文学が好きで、将来は文学部にいこうと決めていました。高校2年生になって自分の進路と真剣に向き合い、一番やりたいことは何かと考えたとき、人の暮らしや生活様式などに現れる基層文化だと思い、筑波大学に進みました。大きい大学で民俗学に力を入れているところは珍しく、筑波大学 人文・文化学群人文学類で民俗学のコースを専攻したいと考えています。
—大学入試の勉強にあたり、それぞれどのような対策をしていましたか。
鈴木:面接と小論文を行う学校推薦型選抜を受けるため、担任の先生や北陸中学の国語の先生などに面接の練習をしてもらいました。どの先生からも志望動機を指摘され、私なりに民俗学のテーマをどういう風に社会貢献につなげていくか、先生にアドバイスをもらいながらまとめていきました。
杉本:私も学校推薦型選抜で、どんな質問がきても返答できるよう、いろんな先生に面接の練習につきあってもらいました。もし推薦で落ちたら二次試験を受けるつもりだったので、面接の練習と並行して英語のリーディング対策などにもかなり力を入れました。
笠井:学校推薦型選抜に落ちて、一般選抜で合格しました。推薦の失敗は、ショックでしたね。僕はふたつのことを一度にできないタイプで、推薦の勉強に集中している間は、世界史などをちょっとないがしろにしていたので、共通テストに向けて本当に時間がなかったです。僕的に一番伸ばしたかった世界史と数学を、それから毎日1時間半ずつ勉強しました。
—大学受験で、北陸中学での学びが力になったことはありますか。
笠井:やっぱり、勉強って〝楽しい〟と感じないと続けていけないと思うんです。北陸中学の英語は〝楽しんでやる勉強〟で、映像を観たり、おもしろい文章を読んだりして、英語が楽しいと思えたのが良かったです。
鈴木:イマージョンやニュージーランド研修とか、北陸中学の英語教育全体が文法とかにフォーカスするだけじゃないところが良いなと思います。特にイマージョンでは社会問題を取り上げてくれるので、今話題のSDGsもだいぶ前から知っていたし、時事的な問題に強くなりました。
杉本:力になったのは、北陸高校で2年生から毎日ある統一テストです。1週間の間に習ったところが出るので、そこでつまずいたところがないか確認でき、苦手を残さなかったのが良かったです。それに、テストがあるので、「良い点が取れるよう頑張ろう!」とモチベーションを保つことができました。
—北陸中学・高校での思い出深いエピソードを教えてください。
鈴木:高校で、北陸中学のときの先生に協力してもらって新聞同好会を自分たちで立ち上げたことです。コロナ禍の中でも新聞を発行していたことなどが認められ、「文化部のインターハイ」と呼ばれる全国高等学校総合文化祭(総文)に出場することができ、開催地の和歌山へ行きました。
笠井:起業に興味があったので、日本よりも企業家精神が進んでいるアメリカに留学したいと思い、文部科学省の官民協働海外留学支援制度『トビタテ!留学JAPAN』に応募したことです。結局新型コロナウイルス感染拡大で中止になったのですが、大学ではアメリカに留学したいです。
杉本:中学のときから友達と「高校生クイズに出たいね」と言っていて、北陸高校でクイズ同好会を立ち上げました。先生や生徒会の承認をとるのは大変でしたが、北陸中学の先生も応援してくれました。同好会で高校生クイズに3回出場し、1年生のときは福井県の代表決定戦まで行きました。
—ニュージーランドの語学研修では、何が印象に残っていますか。
笠井:僕のホストファミリーがインド系の人で、食事が毎日カレーだったことです(笑)。それから、ホストファミリーの方が車好きで、僕も車が好きだったので、週末は車でいろんなところに連れていってもらいました。大学に入ったら、僕も車の免許を取って好きな車に乗りたいです。
杉本:印象的だったのは、私たちが事前学習で先住民のマオリ族について調べていたことを、ホストファミリーの方が「先住民族のことを知ろうとしてくれるのがすごくうれしい」と言ってくれたことです。例えば、私が海外の方を受け入れる側だとしたら、アイヌ民族などのことは教科書程度しか知らず、その辺の意識がニュージーランドとは違うんだなと思いました。
鈴木:当時はぼんやりしかわかってなかったんですけど、ニュージーランドは事実婚・パートナーシップも多く、日本とは違う家族のカタチがあるのがおもしろかったです。それから、私と笠井くんたちのグループは、日本行事の紹介でバレンタインデーの文化をプレゼンしたのですが、子供たちにけっこう受けてうれしかったです。
—これから大学でやりたいことはありますか。
杉本:本格的に医師を目指すきっかけとなった青年海外協力隊の活動など、コロナ禍で高校時代はできなかったボランティアをやってみたいです。
鈴木:民俗学は、領域をまたいで経済学や言語学などがとりこぼした分野を知ることができる領域横断性が素晴らしいと思っているので、幅広い研究をしていきたいです。研究方法にフィールドワークがあるので、いろんな町にいって、いろんな人と話をして、遺跡巡りとかもしてみたいです。
笠井:大学在学中に、社会起業家として起業したいです。NPOは国からの支援を受けるためいろんな制限があるんですけど、社会起業家は事業として利益を生み、その利益でまた社会問題を解決するというように循環させることができるのが良いなと思っています。
鈴木・杉本 へえ〜すごい。なんかかっこいい(笑)
—最後に、未来の後輩に北陸中学の良いところを伝えてください。
杉本:数学などでは少人数制のクラスをさらに半分にして授業をすることもあり、質問がしやすく、少人数であるメリットが高いと思います。それに内進生は高校でも知っている先生が多く、しっかり見守ってくれる環境があるので、あまりビビらず、やりたいと思ったことはやってほしいです。
鈴木:生徒同士の関係も、先生との関係も近く、先生がいろんなことをやらせてくれて、なんでも応援してくれるのが一番良いところだと思います。中学では先生からすすめられて、杉本さんと一緒にジュニアドクターとか理数グランプリなどにも参加しました。視野が広がり、いろんな世界に触れる機会を、学校側から提供してもらえたなと思っています。
笠井:北陸中学は英語に力を入れていて、イマージョンで英語を使って社会的なことを学んだり、人前で英語でプレゼンしたりすることは、これからの時代に求められるものだと思います。特に、自分から進んで前に出られないタイプの人は、英語の学びを通して積極性が身に付くと思います。