夢を抱け北陸中で見つける夢、広がる未来。
在校生インタビュー
vol.12ロンドン留学での学びで、
ファッションでメッセージを発信。

北陸高校 内進クラス

2年 清水 晃希

北陸高校 内進クラス

2年 清水 晃希

PROFILE
ファッションに興味があり、服飾をテーマに文部科学省の官民協働海外留学支援制度『トビタテ!留学JAPAN』日本代表プログラム(※1)に応募。難関を突破し、7〜8月の4週間にわたりイギリスのセントラル・セント・マーチンズに留学した。弓道部所属。

—『トビタテ!留学JAPAN』に応募した経緯を教えてください。
内進クラスの2学年上の先輩が『トビタテ!留学JAPAN』に参加していたのがきっかけです。先輩の『トビタテ!留学JAPAN』の活動の一環であるアンバサダー活動の留学体験の発表を見て、国がサポートしてくれる留学プログラムがあることを知り応募しました。

—どのような留学計画を立てたのですか。
『トビタテ!留学JAPAN』は生徒が考えた計画に基づいて留学を支援してくれるもので、僕は芸術の分野でイギリスへの留学を計画しました。
僕は、服って一種のメッセージになると考えています。例えば、インターネット上では〝青少年の自殺が増えている〟とか〝プラスチックゴミが増えている〟ということを記事で伝えるけれど、あえて違うアプローチで伝えることが重要だと思うんです。例えば、服飾という芸術的な視点で伝えることで、ニュース記事にあまり興味がない人にも関心を向けてもらえる。そういう情報の媒体としてのファッションっておもしろいなと僕自身は感じています。

—どうして留学先にイギリスを選んだのですか。
理由は、二つあります。一つは、イギリスはいろんな文化が混ざっている国だからです。正統派の代表ともいえるスーツの発祥の地であり、その一方でパンクファッションがあるなど、真逆の文化が共存して今もなお生き続けているというのが興味深く、そこから異文化の共存のしかたについて学べるところがあるかなと思いました。

—もう一つの理由は何ですか。
ボランティアへの取り組みです。僕は、服って「可愛い」や「かっこいい」だけで終わってはダメで、感動があり、そこから何かを発展させることが大切だと思っています。
例えば、さっきのプラスチックゴミの話だと、今着ている服はほとんど化学繊維が使われていて、実は洗うたび微量なプラスチックのゴミが出て、最終的に海などに流れ着いているんです。イギリスはすごくエコロジーやボランティアやLGBTQ(※2)などへの向き合い方がとても進んでいると考えたから、留学先に選びました。

—応募から留学までの流れを教えてください。
一次試験はレポート、それに通ると二次試験で面接があります。倍率は、けっこう厳しかったと思います。僕はファッションについての留学だったので、悔いがないように自分の個性を一番出している服ってなんだろうと考えて、所属している弓道部の袴が正装として成り立つと思い、面接に袴を着ていきました。みんな制服だったので、だいぶ目立っていたし、面接官の方も驚いていましたね(笑)。

—留学の内容について教えてください。
留学期間は7月から8月にかけての約1ヶ月間で、イギリスのロンドン芸術大学の一つであるセントラル・セント・マーチンズに留学しました。自主性も面接で見られるところなので、自分自身でやりたいことを全部計画立てることが大事だと思い、エージェントは使わず自分で2週間のプロジェクトを2コース選び、大学に申し込みました。

—2コースの内容は、それぞれどういうものですか。
ドレーピングに重きを置いたものと、ファッションスタイリングとメイキングの2コースです。ドレーピングとは、トルソーの上で直接形を作りながら生地を切っていく立体裁断のことで、〝今みんながスマホなどで人と関わりやすくなったことで、逆に薄いつながりを広げて、深いつながりを消しているのではないか〟という考えで制作をしました。

—人とのつながりと服を、どのように結びつけたのですか。
つながりの部分を温度で示そうと思い、マテリアル(素材)の部分で表現しました。人と触れていると暖かいし、離れて孤独感を感じていると寒いというイメージから、アルミホイルを使いました。アルミホイルは加熱すると温度が上がるし、逆に冷えるとすごく冷たくなる。温度で固さが変わる素材です。伝えたいテーマにすごく合ってるなと思いました。

—制作でこだわったところを教えてください。
2週間の制作期間の中で、リサーチにすごく時間をかけました。学校の図書館にこもり、ボロボロの英語の本を見て戦争などについての写真を50〜60枚コピーをとって、そこからインスパイヤを受けて作っていきました。まずドレーピングでアルミホイルで形を作ってから服に転じ、写真を使ってコラージュしていき最終的にキャンバス地で服を作っていきます。また、学校内にいろんな生地を見られるところがあり、そこでアルミに似ている素材を見つけることができて楽しかったです。

—制作は順調でしたか。
それが、学校のミシンは日本の家庭科の授業で習う家庭用ミシンではなく、工業的な足踏みミシンだったんです。英語で説明を受けて初めて使ったのですが本当にわからなくて、できないことばっかりでした。だから、前半のプロジェクトの作品は、今では見るに耐えない感じです(苦笑)。

—大学では、どんな人たちと一緒に学んでいたのですか。
年齢は16〜18歳位で、日本人は1人もいなくてアジアとヨーロッパで5:5くらいの割合でした。最初は海外の知らない人たちを前にすごく緊張してしまい、けっこう孤独感を感じていましたね。前半の2週間は、学校に行くとずっと緊張しっぱなしでした。
前半後半でクラスメイトが変わるんですが、最後の2週間のクラスメイトとは特に仲良くなれて、しかも前半のコースで一緒にいた子や同じ先生がいたりして、心にやっと余裕ができて、自分から友達を誘ってでかけるようになりました。

—イギリスで印象的だったことはなんですか。
ロンドン観光にも行ったし、美術館が無料なのでいろんなところに行きましたが、特に印象的なのはLGBTQのパレードです。店のショーケースや横断歩道が全部虹色になり、町全体でLGBTQを迎えるムードがあって、町全体で人々の意識を変えてしまおうとする姿勢は、日本が見習うべきところだと思いました。

—ホームステイ先の家族はどんな方でしたか。
ホストファザーはカメラマンで、ホストマザーはファッション誌の〝ヴォーグ〟にフローリストとして載るような方でした。ホストファザーがいろんな人に白いシャツを着てもらって写真を撮影する〝ホワイトシャツプロジェクト〟に僕も参加させてもらったりして、すごく良かったです。

—後半のコースのプロジェクトは、どういう内容だったのですか。
後半のテーマで重きを置いたのは、現在のデジタル戦争みたいなものです。僕たちってネット上で自分を大きく見せすぎてかえって傷ついたり、つながりすぎたことで余計に傷ついたりしていると思うんです。それってネット内での戦争みたいだなと僕は思っていて、みんなどれだけ元気そうに見えても、どこか欠落して負傷している状態。そういう面で、あえて不完全な服を作ってみました。最後に、授業の一環で自分が作ったものをプロのモデルの方に着てもらい、プロのカメラマンに撮影してもらいました。

—できあがった作品について詳しく教えてください。
素材は質素で真っ白なキャンパス生地に、刺繍や色でギミックを施しています。後ろは6枚のパーツでできていて、一個一個動かすことで炎のように見せています。そうしたものを背負ってる状況で生きていかなきゃいけないということを、視覚化したいと思って作りました。
前から見ると、中心をずらしているので自分の服じゃないものを着ているみたいなイメージで、それは前半のテーマにあげた現代のネット社会に結びつけています。。あえて大きい服を着て自分をガードし、自分を大きく見せているという感じです。

—作品に対する、先生の評価はどうでしたか。
先生から「前半の2週間と後半の2週間で、だいぶ変わった。取り組む姿勢も良くなったし、ものづくりの理由がすごく明確になった」と言われたのが、一番うれしかったです。ただ、いつまでたっても、ミシンだけはうまくなくなりませんでしたね(苦笑)。

—この経験で得たものを教えてください。
行動することの大事さと、批判的にものごとを考える力です。
留学で有意義な体験をするかしないかは、結局自分次第だと思います。僕も最初の頃は一人ぼっちの時間が多かったんですけど、あと2週間となったとき「自分で有意義なものに変えなきゃ」って使命感にかられて、友達に声をかけたり、いろんなお店にでかけたりしました。行動することって本当に大事で、考えを温めることも大切ですが、そこから一歩発展させて、次のフェーズに移行することが一番重要だと思います。

—友達やホームステイ先の方とは、今も交流していますか。
はい、今もSNSなどを通じてやりとりをしています。本当にいろんな国とのコミュニティーが広がり、この留学で一番価値があったことって、服やスキルでもなく、自分の知らない世界を教えてくれるような人とのつながりだなって思っています。

—そもそも北陸中学を選んだ理由を教えてください。
新しい友達を作って、新しい関係性を広げていきたいと思い、僕は北陸中学を選びました。ニュージーランド語学研修を経験して海外と関わったり、イマージョン授業で英語に触れる機会が多くあったなかで、自分が関心のあることを考えたとき、英語で語ることができないと本当に自分の思いを伝えることができないと感じています。

—北陸中学の魅力を教えてください。
中高一貫教育という6年間のつながりは、強いものがあるなと思います。『トビタテ!留学JAPAN』を知ることができたのも、北陸中学のOBの先輩が話をしてくれたからです。
それから、海外語学研修の経験もすごく大きいですね。中高生のうちにみんな1回は海外に行くべきだと思います。例えば、その感想が「飯がまずかった」とか、それだけでいいんです。イギリスもよく「飯がまずい」って言われるけど、実際行ってみると美味しいんですよ。
簡単に鵜呑みにしていたことに対し、自分で実際に経験して、自分の頭でもっと深く考えて行動するようにならなきゃダメだなって思います。

—これからの目標を教えてください。
もともとは服を作りたいって夢があったんですけど、今回の留学でそれが揺らいだっていうのがあります。服という媒体を通して表現することが、本当にやりたいことなのか迷いが出てきたっていうか。今は、世界のさまざまな社会問題に深く関わるような活動をしていきたいと思っています。

—進学についてはどうですか。
まだ決めてはいないんですけど、最終的には今回行ったセントラル・セント・マーチンズにまた行きたいと思っています。英語力は、まだ充分ではないですが。

—最後に、未来の後輩にメッセージをお願いします。
メディアに縛られない、自分の意見を持ってほしいです。メディアや他人が言うことだけでアイデンティティを確立するんじゃなく、自分の目で見て、関わって、海外に行って、自分を作っていくのが大事だと思います。そういう面で中学3年生でのニュージーランド語学研修は、高校に入る前に、自分の生きてきた15年間を総括する意味でも感じるものは絶対あると思います。

※1 『トビタテ!留学JAPAN』:「意欲と能力ある全ての日本の若者に留学機会を与えること」を目的に、2013年10月より、文部科学省初の官民協働プロジェクトとして開始された留学支援プログラム。2020年までの7年間で約1万人の高校生、大学生を派遣留学生として送り出す計画。
※2 LGBTQ:レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(生まれた性と異なる性で生きる人)、クエスチョニング(性自認や性的指向を定めない人)の頭文字をとったもの。

インタビュー一覧へ